佳秀工業では、金属・非金属を含めて年間に約400種類の材質の加工を行っています。『金属研究所』のコーナーでは、進化を続ける金属の新規素材や、様々な加工法の特徴について解説しています。今回は最も活用されている曲げ加工『V曲げ:3つの方法』についてご紹介します。

当社保有設備:AMADA HG1703

目次

●曲げ加工について
●V曲げ:「パーシャルベンディング / ボトミング / コイニング」
●最後に

曲げ加工について

金属・板金加工における曲げ加工とは、プレスブレーキあるいはベンダーと呼ばれる機械を使用して、鉄、ステンレス、アルミ、銅、真鍮など多様な材質の部材に対して機械的圧力をかけ(プレス)、平面な板を様々な形に成型する加工方法です。
機械上部に取り付けられた金型を「パンチ」、下部の金型を「ダイ」と呼びます。
2つの金型で挟み込んだ材料に機械で強い圧力をかけることで、色々な形に曲げることができます。ハンマーなどで叩いて曲げる「手曲げ」や熱で金属を柔らかくして曲げる「ガス曲げ」よりも、加工時間が短くかつ正確なため、多くの金属加工業で取り入れられています。

プレスブレーキ には「機械式 」と「油圧式(液圧)」の2種類があります。機械式プレスブレーキは油圧式のものと比べて作業速度は早いという利点がありますが、早いがゆえに加圧力の調節がしにくいのが難点です。最大加圧力も油圧式に劣るなどの理由から、現在主流の曲げ機械は油圧式プレスブレーキになっています。

V曲げ:「パーシャルベンディング / ボトミング / コイニング」

曲げには多くの加工方法があり、V曲げ、L曲げやU曲げ、シーミングやR曲げ、アコーディオン曲げなどがあります。
このうち、V曲げ(V型形状のダイを使った曲げ)の加工方法は『パーシャルベンディング / ボトミング / コイニング』の3種類です。

●パーシャルベンディング 

パーシャルとは「部分的な」という意味であり、曲げる際に板金とパンチ、ダイの3箇所に部分的な圧力がかかることからこの名前で呼ばれています。板金をダイに密着させず”空気の隙間がある状態で曲げる”エアーベンディングに類され、曲げ角が90°以上のものに多く使われます。

加工部の外側に引っ張り変形、内側に圧縮変形が生じることで、加圧を止めた時に元の形に戻ろうとする現象(スプリングバック)が発生します。そのため精度はあまり高くはありませんが、180°から金型に当たるまでの範囲内であれば自由に角度を調節できるというメリットがあります。
曲げ角度の自由度が高い反面、安定した精度を求めるのが難しいため、作業者に高い技術が必要な加工方法です。

●ボトミング

「底につける」という意味のボトミングは、「底押し」「底突き」とも呼ばれ、その名の通りダイの面から底に沿うように曲げる加工方法です。曲げ角度は金型に依存しますが、後述するコイニングと比べて低い圧力での曲げが可能なことや、パーシャルベンディングよりも高い角度精度を持つことから、加工現場で最も多く活用されています。
また、この加工はスプリングバックに加えて加工後に起こる弾性回復(スプリングゴー)が発生するため、材質や形状、板厚によってパンチやダイの角度・形状を都度取り替える必要があります。90°曲げの標準金型にいくつものバリエーションがあるのはそのためです。

例)指定角度が90°の場合に使用する金型
・スプリングバックが小さい場合=90°金型
・スプリングバックが大きい場合=88°金型
・更にスプリングバックが大きい場合=84°金型   など

●コイニング

コイン(硬貨)の表面に圧力で模様を成形する加工をコイニング (圧印加工)と呼びますが、製法が似ていること、またコインのような精度が得られる加工方法という意味で曲げ加工でも同じ名称が使われています。
ボトミングの状態から、更に材料にパンチが食い込むほどの圧力をかけるコイニングでは、その加圧力はボトミングの5~8倍と非常に大きくなります。
高い圧力はプレスブレーキ本体や金型に負荷をかけてしまうことから、限界板厚には注意が必要となります。(設備にもよるがおよそ板厚2mmまで)
使用される材料にも「曲げ傷」や「型傷」と呼ばれるものがつきやすくなってしまいます。

しかし、パーシャルベンディングやボトミングよりも加工部の曲率が低く、また高圧力によって角度が安定するため、スプリングバックの発生が極めて少ない特徴を持ってます。高い寸法精度の保持が求められる時に使用される工法です。

最後に

レーザー切断や溶接などのインパクトの強い作業と比べると、一見控えめに見える「曲げ」加工。しかしひと曲げひと曲げすることで、1枚の板から1つの製品へと形作られていくそのさまは、見ていて圧巻です。
大きな材料を扱う時の、文字通り皆で支えながら加工するのも、他の工程にはない光景かもしれませんね。

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