佳秀工業では、金属・非金属を含めて年間に約400種類の材質の加工を行っています。『金属・素材研究所』のコーナーでは、進化を続ける金属など新規素材の特徴について解説しています。

今回の金属素材研究所ではハイスペックなプラスチック「PEEK(ポリエーテルエーテルケトン樹脂)」についてご紹介します。

目次
・PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)とは?
・PEEK(ポリエーテルエーテルケトン )の優れた特徴
・PEEK(ポリエーテルエーテルケトン )の仲間素材
・最後に

PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)とは?

PEEKとは正式にはポリエーテルエーテルケトンという名称の樹脂で、「*スーパーエンジニアリングプラスチック」に分類されます。
PEEKは樹脂材質の中でも最高レベルの耐熱性、機械的強度があり寸法安定性が高いため様々な製品に使用され、ものづくりの材料として高い人気を誇っています。
しかし材質自体の強度が非常に高く、切削加工や切断加工などが難しい「難削材」であることや、高価(約1万円/kg)であるなどの理由からあまり一般的には流通していません。

PEEK(ポリエーテルエーテルケトン )の優れた特徴

PEEKの主な特徴として「耐熱性、耐薬品性、耐熱水性、機械的強度、耐放射線性、難燃性」等に優れていることがあげられます。 

・耐熱性
一般的なスーパーエンジニアリングプラスチックの耐熱性が150℃以上であるのに対し、PEEKはその1.7倍の260℃で連続使用することができる。
熱への耐性が非常に優れているため熱老朽にも強く、短時間であれは300℃にも耐えることができる。

・耐薬品性
PEEKは酸やアルカリ、有機溶媒にも耐性があるため、濃硫酸などの一部の強酸以外の薬品に対しては高温時でも変色や溶解を起こさない。

・耐熱水性
200~260℃の熱水中や300℃の加圧熱水、スチームの中でも使用できる。

・機械的強度
引張強度は90MPa以上あり、引張弾性率は3000MPa以上、伸び率は25%。
また、ガラス繊維や炭素繊維と組み合わせることでさらに強度を上げることができる。

・耐放射性
安定した分子構造のため放射線の影響を受けにくく、硬化や割れなどの劣化が起こりにくい。
この特性により原子力発電所や航空宇宙産業などでも使用されている。

・難燃性
燃えにくく、燃焼時の煙や有毒ガスなどの発生が他の素材と比べて少量。

これらの特徴により、欧州では車の軽量化を図るため高温部位となるオイルシールリングなどにPEEKが使用されており、最近の日本の自動車産業分野でもPEEKの需要が高まっています。
自動車産業以外にも、携帯電話やサイクロン掃除機の部品、半導体に加えて航空宇宙産業や原子力、医療分野など幅広く使用されています。

1970年代には世界各地で「PEKK、PEK、PEKEKK」などの様々な化学構造のPEAK(ケトン系樹脂)が開発されていました。
しかし後に開発された「PEEK」が従来の素材よりもコストや加工性、特性などで優れていたことにより、PEEKの市場シェアが拡大し、一部の材質以外は製造中止となり使用されなくなっています。


【PEK】=ポリエーテルケトン
スーパーエンプラの一つでPEEKよりも高い耐熱性を持つが、PEEKよりも高価であるためあまり一般的な材質ではない。

【PEKEKK】=ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン
PEEK・PEKよりも更に高い耐熱性を持ち、金属の代替品として特殊な製品に使用される。

最後に

1999年に業界トップである英国のビクトレックス社が所有していたPEEKの特許が失効されてからは、ドイツやベルギー、フランス、インド、中国の企業がPEEKの市場に新規参入し、開発が行われています。
様々な企業による多角度からの開発によって、今はまだ浸透していない希少なPEEKも近い未来には一般的な材質となる可能性を充分に秘めていると言えるでしょう。

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